昔の僕は、恋愛って“耐えるもの”だと思っていました。
多少のすれ違いは当たり前だし、
愛があれば我慢もできるし、
相手を理解するには時間がかかるものだし——
そんなふうに自分に言い聞かせて、
小さなモヤモヤを何度も飲み込んでいたんです。
でも、そうやって耐えた分だけ、
心のどこかで「こんなに頑張ってるのに…」って、
悲しみがふくらんでいたのも事実でした。
ほんの一言に傷ついて、
でもそれを伝えることもできず、
いつも心の中だけで反省したり、反論したりして。
「これでいいのかな」
「恋愛って、こういうもんなんだろうか」
そんなふうに感じていた頃。
ふとしたきっかけで、これまでとはちょっと違う捉え方を知って、
僕の中の恋愛観が、大きく変わりはじめたんです。
それは、“耐える”ことでも、“諦める”ことでもない、
もうひとつの関わり方でした。
この記事では、僕自身がそこにたどり着くまでの体験を通して、
「恋愛ってこうじゃなきゃいけない」と思い込んでいたことが
どんなふうに変わっていったのかを、お話しできたらと思います。
当時付き合っていた彼女は、感情表現が得意な人でした。
楽しいときは全力で笑って、嫌なことがあるとすぐに顔に出るタイプ。
対して僕は、どちらかといえば我慢してしまう方でした。
だからこそ、衝突が起きるたび、
「怒らせたくないな」とか「また機嫌悪くならないかな」と、
言いたいことを飲み込むクセがついていきました。
ある日、旅行の計画を立てているとき、
彼女がちょっとした冗談で
「そこ、別に行きたくないかもな〜」と言ったんです。
僕はその場所に少し思い入れがあって、
「そうか…じゃあやめようか」と返したけど、
内心ではショックでした。
本当は、「そこは行きたかった」と伝えたかったし、
ちゃんと話し合いたかった。
でも、言ったら空気が悪くなる気がして、
「そうだよね」って
笑って受け流したんです。
そのあと、彼女が「なんでそんなテンション低いの？」と聞いてきて、
僕は「別に」と返しました。
でも、心の中では“わかってもらえない”寂しさと、
“言えなかった自分”へのがっかりが広がっていました。
こういうすれ違いが続いたある日、
彼女に「私ばっかり頑張ってる感じがする」と言われたとき、
頭が真っ白になりました。
僕の方こそ、ずっと我慢していたのに——
なんでそんなふうに言われるんだろう。
そのとき、
初めて自分の中の
「耐え続けていたもの」に気づいたんです。
その言葉をきっかけに、
僕ははじめて「伝えること」を意識するようになりました。
それまでは、相手の機嫌を損ねないことが“優しさ”だと思っていたし、
少しくらいの不満は、自分の中で処理するのが“大人”だと思っていた。
でも、本音を飲み込み続けることは、
関係を守るどころか、少しずつ壊していくんだと気づいたんです。
我慢を重ねた先に待っていたのは、
「どうせ言ってもわかってもらえない」という諦めと、
「なんで自分ばかり…」という静かな怒りでした。
一緒にいる時間が長くなるほど、
お互いに“慣れ”が生まれ、遠慮も減っていく。
その分だけ、ちゃんと伝える力が必要になることも、
少しずつ実感するようになっていきました。
そして、ただ気持ちを言えばいいわけじゃないこともわかってきました。
タイミングや言葉の選び方、感情の整理の仕方——
ほんの少しの工夫や視点があるだけで、
ちゃんと届くかどうかが大きく変わる。
それってつまり、
「耐える」でも「ぶつける」でもない、
“育てる”という関係のあり方なんだと
感じるようになったんです。
もしかすると今、
「これくらい我慢しなきゃ」とか
「言ってもどうせわかってもらえない」って、
自分の気持ちを奥にしまい込んでいませんか？
でも、恋愛って“耐えた量”で深まるものではないんです。
むしろ、気づかれないままの気持ちが積もっていくことで、
少しずつ距離ができてしまうこともあります。
我慢の先にあるのは、理解ではなく、誤解かもしれない。
気持ちを伝えるって、たしかに勇気がいります。
タイミングを間違えれば衝突になることもあるし、
どう言えば伝わるのか迷うことも多い。
でも、ちょっとした工夫で、
感情を“ただの反応”じゃなく、
“関係を育てる材料”に変えることはできます。
「こう言ったら伝わりやすいかな」
「本当は、どんなことが引っかかってるんだろう」
そうやって、自分の感情に少しだけ目を向けてあげるだけで、
恋愛の景色って、意外なくらい変わるんです。
関係って、自然に深まっていくものだと思われがちだけど、
実は、育てる意識があるかどうかで
まったく違うものになる。
“耐える”ばかりだった恋から、
“育てていける関係”に変わることで、
もっと穏やかで、
あたたかいやりとりができるようになります。
恋愛の中で、
「こんなに我慢してるのに」
「どうしてわかってくれないんだろう」
そんなふうに感じたこと、
きっと少なくないと思います。
僕もそうでした。
本音を言えば関係が壊れるかもしれないと思って、
いつも“耐える”ことでバランスをとろうとしていました。
だけど、その“頑張り方”って、
実はとても消耗するんですよね。
相手に合わせて、空気を読んで、自分の感情を後回しにして——
気づけば、
自分がなにを感じているのかさえ、
よくわからなくなっていた。
恋愛って、楽しいだけじゃないからこそ、
「これが普通なのかな」って思ってしまいがちだけど、
もし“苦しさの方が多い関係”になっているなら、
それはきっと、自分を大事にできていないサインです。
好きな人と一緒にいるって、
本当はもっと自由で、
安心できるもののはずなんですよね。
意見がぶつかることもあるし、
時には寂しさやズレを感じることもある。
でも、そこで“我慢”じゃなくて、
「一緒に越えていく」という関わり方ができたとき、
関係は育ちます。
育つ関係って、
お互いの感情を“扱える”ようになるんです。
たとえば、悲しいときに無理して笑わなくていいし、
不安なときは「不安なんだ」と伝えてもいい。
怒りが湧いたら、その裏にある“ほんとうの気持ち”を見てあげればいい。
そうやって、感情をちゃんと扱えるようになるだけで、
恋愛のしんどさは驚くほど減っていきます。
そして、何より大事なのは、
「私は、育てられる関係を選んでいい」と思えること。
誰かの期待に応えるために、
感情を押し殺す必要なんてない。
もっと心をやわらかく使っていいし、
“自分のまま”で愛される関係は、ちゃんと存在します。
恋愛の苦しさから抜け出すヒントは、
あなたの感情の中に、すでにあるんです。
少しずつでいい。
耐える恋より、育てていける関係を。
それを選んでいくことから、変化は始まっていきます。
